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置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子 [エッセイ]

立春を過ぎたとはいえ肌寒い2月12日、JR岡山駅西口のバス停は長蛇の列ができていた。昨年(2016年)末に亡くなったノートルダム清心学園理事長・渡辺和子さんの学園葬が開かれるホテル向けのシャトルバスを待つ人たちだ。事前に公共交通機関での来訪を学園が呼び掛けていたからホテルの駐車場は空きが目立ち、「岡山県民は律儀だ」と参列者が苦笑いしていた。

ベストセラーとなった故人の著書を書棚から取り出した。渡辺さんは9歳の時、2・26事件で陸軍教育総監だった父親の錠太郎氏を目の前で殺害された経験を持つ。30代で岡山市のノートルダム清心女子大学長に就任。修道者、教育者として激動の人生を送った。理不尽な出来事だらけの生涯を振り返りながら、それでも「人はどんな場所でも幸せを見つけることができる」とのメッセージを送る。

些細な不満も心の持ちようで満たされることもあると渡辺さんは指摘する。大学にあるエレベーターを例に出す。扉が閉まるまでのたった4秒。それすら待てずに「閉」のボタンを押す自分に気づく。以来、その待つ間を祈りにささげた。小さな祈りを唱える習慣を得たことがうれしくなったと書いている。

本のタイトルは、米国の神学者ラインホルド・ニーバーの詩からとっている。書き出しはこんな文だ。

Please bloom where God has placed you.
Rather than give up, make the best of your life and bloom like a flower.

(神が置いた場所で咲きなさい。諦めずベストを尽くし、花のように咲きなさい)

学園葬には、父・錠太郎氏を殺害したとされる青年将校の実弟も神奈川県から駆け付けたと新聞が報道していた。渡辺さんとは恩讐を乗り越え、30年にわたり交流を続けてきたという。渡辺さんほど乗り越えなければならない不条理は持ち合わせなくても、誰でも「なんで私が」と唇をかむ瞬間がある。そんな人たちに救いの手を差し伸べてくれる本として読み継がれるだろう。

置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい

  • 作者: 渡辺 和子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/04/25
  • メディア: 単行本



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