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リーチ先生 原田マハ [文学]

英国人陶芸家で、日本にも深い関わりを持つバーナード・リーチは今年、生誕130年を迎えた。白樺派の武者小路実篤、志賀直哉、柳宗悦、浜田庄司らと親交を得、柳宗悦の民芸運動にも参加。世界中で陶芸を指導し、東西両文化の橋渡し役を務めたことで有名だ。

本作はそのバーナード・リーチの年譜を忠実にたどりながら、それに関わる人たちとの交流を描いたフィクションである。「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」など、絵画を題材にした小説を次々と発表している原田さんだが、今回は陶芸がストーリー進行の大きな役割を果たしている。作者自身、美術館のキュレーターとして欧米の文化に憧れる時期があったが、しだいにアートや工芸における日本人のアイデンティティーについて考えるようになったという。

作中でも、リーチと柳が口論になるシーンが印象的だ。リーチが言う。「あなたがたは、西洋美術を礼賛しすぎだ。日本にだって、すばらしい美術がある」。栁が言い返す。「礼賛したっていいじゃないか。好いものは好いんだ」。「君は西洋かぶれだ」「あんたは日本かぶれだ」-。時代は大正年間。日本がまだまだ欧米の文化・文明を貪欲に吸収していた時世である。

東西文化の衝突と交流。それを繰り返しながら、物語は進む。インターネットを通じて世界中の誰とでも簡単にコミュニケーションが取れる現代である。当時の人々が異文化に触れるために、どれだけの労力と時間がかかったか。その並々ならぬ決意が伝わってくる。

ちなみに、主人公はリーチではなく、リーチの弟子となった架空の日本人青年。彼の国境を超えた淡い恋と別離。ほろっとするストーリーは、さすがAF(アート・フィクション)の作者を自認する原田さんならではのものだろう。


リーチ先生

リーチ先生

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: 単行本



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