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小説 ひるね姫 神山健治 [文学]

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日本の高校生は、居眠りをする割合が世界最高水準のようだ。国立青少年教育振興機構(東京)が日本、米国、中国、韓国の4カ国の高校生を対象にした国際調査結果が先日発表されたが、授業中に居眠りをする高校生は日本が15.0%で4カ国中最高だった。米国・中国が3%台で、韓国が約8%というから異常な多さだ。

本作は、そんな居眠りの得意な女子高校生がヒロインの物語だ。公開中のアニメーション映画を神山健治監督自ら書き起こしたノベライズである。舞台は東京オリンピックが迫る2020年の夏、岡山県倉敷市の瀬戸大橋のたもとの町。暮らす明るく活発な主人公の森川ココネは、授業中に昼寝をしては先生に叱られてばかり。寝ている間に見るスリリングな夢が現実と重なっていることに気づき、幼なじみと旅に出るロードムービーだ。

批評性あふれる作品作りで、主にテレビシリーズのアニメで高い評価を受けている神山監督が手掛けた初の劇場版オリジナル作品となる。今回は銃弾が飛び交う殺伐とした神山ワールドとは一線を画している。作風の変化はどこから来るのか。<映像の中で世界を救っても、現実は救えない>。東日本大震災を機にその思いは強まり、アニメーション映画を作る意味を自問していたと監督は語っている。その答えとして出されたのが、自分たちが生活しているリアルな空間の延長線上に物語の舞台を置くことだった。

AI(人工知能)やネットなど監督お得意のテクノロジーは本作でも健在。水中眼鏡型のVR(仮想現実)機器や自動運転システムといった実社会で導入されつつある技術が、物語を進める重要な役割を果たしている。いずれも、神山作品では先端技術が時に人を大いに助けたり、人命を脅かしたりするツールとして存在感を放つ。そこから一貫して感じるのは、技術の壁を乗り越える人間本来の強さと可能性だ。本作に繰り返し出てくる「心根ひとつで人は空も飛べる」の言葉通りに。



小説 ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (角川文庫)

小説 ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (角川文庫)

  • 作者: 神山 健治
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 文庫



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