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ジャガイモの世界史 伊藤章治 [新書]

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昨年の北海道産ジャガイモの不作を受けてポテトチップスが店頭で品薄になる「ポテチショック」が全国に広がっている。ジャガイモの国内生産量の8割を占めていることから、原料不足に陥った大手菓子メーカーが販売休止や売れ筋以外の商品種類を絞り、買いだめに走る消費者が急増。品薄に拍車をかけたそうだ。

そんなニュースに触れ、書棚から取ったのが本書である。記録によると、南米原産のジャガイモが地球を半周して日本に入ってきたのは、1598年の慶長年間の長崎。やせた寒冷地でも育ち、栄養価も高いことから栽培地図は日本列島を北上。北海道開拓の歴史とともに北の大地に広がっていき、一大産地を築いた。江戸時代後期の天保の大飢饉ではジャガイモのおかげで餓死を免れた人も諸国で多かったため、「御助薯」とも呼ばれた。

ヨーロッパでも戦争や飢饉など歴史の折々で庶民の胃袋を満たし、「貧者のパン」と呼ばれた。1940年代のアイルランドの大飢饉はそのジャガイモの不作による大惨事で、海外移民まで出した。米国への移民の中からは、J・F・ケネディーとロナルド・レーガンという二人の大統領を輩出したというから歴史は面白い。

元新聞記者の作者は国内外のジャガイモゆかりの地を訪ね、丹念な取材をもとに書いている。歴史の逸話や文学作品までフィールドは幅広い。日本の「ポテチショック」は飢饉とは遠い現象ではあるが、人とのつながりの深い食物であることを裏付ける。麦、コメ、トウモロコシとならぶ「世界の四大作物」と呼ばれる所以だ。

馬鈴薯の花咲く頃となれりけり 君もこの花を好きたまふらむ 石川啄木


ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

  • 作者: 伊藤 章治
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 新書



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