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日本ノンフィクション史 武田徹 [新書]

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若いころ、沢木耕太郎の「深夜特急」を熱心に読んだ。香港、マレー半島を経て、インド・デリーからは英国・ロンドンまでバスだけを使って一人旅をする物語だ。さまざまな人たちやトラブルに出合いながら、気ままな旅を楽しむ。筆者自身の旅行体験に基づいていたこの紀行小説は日本の若者に大きな影響を与え、バックパッカーブームの一翼を担った。まさにノンフィクションの金字塔ともいえる作品だろう。

今でこそ書物や映像作品のジャンルとして確立している「ノンフィクション」だが、その歴史は意外と浅い。その言葉が世に登場するのは、終戦間もない1949年だという。伝記、旅行記、探検記、手記、手紙、日記といった「記録文学」の総称として使われているが、このころノンフィクションは文字通り「フィクションではないもの」として分類されていた。小説をはじめとするフィクションが文学のメーンストリームであり、その他という位置づけだったのであろう。

石川達三や林芙美子らによる中国での従軍報告をはじめ、戦争や革命の現場を写し取った「ルポルタージュ」が、社会派の書き手によってテーマを広げていった。そして日本のノンフィクションを語る時に欠かせないのが大宅壮一だ。雑誌ジャーナリズムの草分けとして活躍しただけでなく、東京の雑誌専門図書館「大宅壮一文庫」や「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」など、作品とともに数々の遺産を後世に残している。

そして今もフィクションとノンフィクションの境界は揺らいでいるという。取材者の想像が入り込むとノンフィクションではありえないのか。外国語でのやり取りをあたかも対話が目の前で繰り広げられたような文章でシーンが書かれた海外取材ものはどうか―。ひとつ言えるのは「ノンフィクションの成立とはジャーナリズムが単独で成立するひとつの作品としての骨格を備えたこと」だと。その源流をさかのぼり、現代にいたるまでの他にない日本ノンフィクション通史に仕上げた。


日本ノンフィクション史 - ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで (中公新書)

日本ノンフィクション史 - ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで (中公新書)

  • 作者: 武田 徹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/03/21
  • メディア: 新書



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