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「宝箱」の底で怪しく光る恋 「ミッドナイトブルー」須藤佑実 [漫画]

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恋を忘れた大人のための短編漫画集である。高校教師と元教え子が抱く秘密、失踪した兄をあきらめられない彼女に横恋慕する弟、大雪の日に偶然再会した学生時代の憧れの女性…。そこに狂おしいほど燃え上がるような恋は見当たらない。登場人物たちは年月の流れとともに大人になっていく。処世術と分別を得た後に、「人生の宝箱」をのぞき込むように初恋の思い出に浸る。そんなノスタルジー漂う作品群だ。

タイトルにもなっている「ミッドナイトブルー」はその代表格だ。天文部の高校生4人。メンバーの女の子の提案で「卒業しても2年ごとに集まろう」と約束する。その2日後、彼女は事故で死んでしまった。残された3人は約束通り2年ごとに集まる。再会するたびに、元部員たちは就職、結婚という人生のステージを踏んでいる。成長していく「残された者」と高校生のままの彼女の対比がちょっぴり切ない。

若者の恋はぎこちなく、成就する方が少ない。思い出しただけで赤面するような時もある。ただ、それをそのまま思い出として受け入れる度量をやがて身に着けるのだ。線香花火のようなあやふやでもろい恋は、いつまでも「宝箱」の底の暗闇で妖しい光を放つ。だれしも「宝箱」は持っている。「たまにはそのふたを開けてみようよ」と本書はそそのかしているようでもある。

重苦しい読後感は残らない。随所に散りばめられたユーモアと現実にはあり得ないファンタジー設定が物語を軽やかに見せている。新世代の叙情派ストーリーテラーとして今後の作品を期待をしたい。



ミッドナイトブルー (フィールコミックス)

ミッドナイトブルー (フィールコミックス)

  • 作者: 須藤 佑実
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/11/08
  • メディア: コミック



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